心域 こころいき

 

日本人の男の心域は地球全域である。日本にある外国式建築を見て思います。外国にある建物と思うほど完璧です。外国人が造った建物と思うほど完璧です。日本人は150年も前から外国式建築を造っていました。日本にある外国式建築は、設計は、東京都台東区にある岩崎久弥邸のように外国人建築家に依頼した建築もありますが、日本人建築家に依頼した建築もたくさんあります。なぜ日本人は日本に外国式建築という自分の国の文化ではないものを取り入れて造ろうと思ったのでしょうか。その理由は、第一に、外国式建築はかっこいいからだと思います。勿論、日本式建築もかっこいいですが、外国式建築ならではのかっこよさがあります。しかし、いくらかっこいいと思っても、自分の国の文化ではないものを取り入れることはしません。日本人も最初はそうだったでしょう。しかし、もし逆に、日本人が外国に行った時、外国に来たのだから、自分の国の文化ではないものを見たいのは当然ですが、外国に来たのに、日本の文化と出会ったら、日本式建築と出会ったら、自分の家に出会ったら…夢を見てるのだろうか。ここは幻想の世界だろうか。心は一瞬で故郷へ。そして、その国に心が近くなったり、こういう歓迎は初めてだと驚いたり喜んだり。素晴らしい精神ですよね。日本人は、日本式建築の一部を外国式に造るではなく、日本式建築の部屋の一角に外国式の装飾品を置くではなく、建物の全体(内装 外装 外構)を外国式に造ることも珍しくありません。逆に、日本人は、外国式建築の一部を和室や唐破風などの日本式に造ることも珍しくありません。河原兵次郎設計の富士屋ホテル西洋館は外国式建築ですが玄関の庇だけを唐破風の日本式に造っています。このような人種は日本人だけです。このようなことは自分の国の文化を大事にしていないように思いますが、決してそうじゃない所が面白いのです。日本人は普通の人種ではないのです。日本人は世界一個性のある人種です。日本人が創造したものを見て下さい。日本人が創造した芸術と技術のほとんどは日本人しか創造できないものです。日本式建築がたくさんある京都では屋根の色や建物の高さなどを規制して自分の国の文化を大事にしています。外国でも街全体が同じ色の屋根で同じ高さの建物ということも珍しくありません。街全体が同じ色の屋根で同じ高さの建物は個性が無いのではなく街そのものが個性、粋ですね。

 

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🇯🇵高取伊好邸 明治38年竣工 佐賀県唐津市

左にある外国式建築は、大きい建物ではありませんが、外国式建築の特徴である「塀を造らない」「天井が高い」「壁の暖炉と煙突」「窓の両側や上下にはっきりした装飾(意匠)を施して窓一つ一つを印象強くして窓にも建築感と物語性を持たせる」を見事に取り入れています。天井が高いから縦に長い窓、煙突は記念塔のような珍しい個性のある形(意匠)、窓の両側はピラミッドのような四角形とピラミッドじゃない四角形を交互に並べた珍しい個性のある装飾、しかし、窓の上下はよく見る珍しくない個性のない外国式装飾、だけど、建設当時の日本人にとっては珍しい個性のある装飾。右の日本式建築の唐破風は、唐破風にしては豪華じゃないのが珍しいですが、逆にそうであることがお洒落です。日本式建築において塀は、建物の延長であり建築芸術の一部、または、建物を引き立てる装飾のようなものです。日本式建築において窓は、建物の一部、更に、自然の一部です。